カウンセリング ケア

このコーナーでは、カウンセリングを受けて頂いている方々へ、
カウンセリングで使っている言葉の説明や、その取り組みのプロセス。
また、僕が日々気付いた事などを中心にお伝えしていきたいと思っております。
日々の生活でのヒントや、皆様の心のケアに役立てて頂ければ幸いです。

『依存』や『甘え』を受け入れるってどういう事?

-- 目次 --
◇ あなたは『依存』や『甘え』をどう感じている?
◇ 成長することと『成熟さ』
◇ 『依存』と『自立』の役割
◇ 『依存』や『甘え』を受け入れるとは?

あなたは『依存』や『甘え』をどう感じている?


『 依存 』

この言葉にあなたは今どんなイメージを持っているでしょう?

大人になれていない?
人に頼ってばかり?
しんどい?
重たい?
迷惑になる? etc.

きっと、あなたが自分の中にある『依存』を嫌って来た分だけ、
あなたが誰かの『依存』する気持ちに苦しんで来た分だけ、
あなたは『依存』をネガティブに扱っています。

最近、カウンセリングで自分の心の中の『甘え』を許してあげましょうとか、
もう一度『依存』を受け入れましょう。そんなお話をすることが続きました。

それで『依存』を受け入れるとは、一体どんなことなのか、
また何がしたいのかを少し整理してみたいと思います。


成長することと『成熟さ』


私たちは、大人に成長していく過程で『依存』から『自立』へと心の変化を経験します。
でも時々、大人になってからこの『依存』をどう扱っているかで、人生のあるステージを上手く進めなくなってしまう事もあるのです。

なかなか恋ができない。
誰も好きになれない。
夫婦問題。
SEXレス。
部下との関係。
子育て。etc.

多くの人が、私たちは『依存』から始まって『自立』という一方向だけに”直線的”に成長していくものだと考えています。自立していれば自立しているほど大人である。という見方です。

でも、心の成熟さに目を向けた時、私たちは『依存』と『自立』という過程(経験)を螺旋を描くように何度も繰り返し、そしてその”円”の面積が大きくなっていくこと。それが人としての『成熟さ』なのです。


『依存』と『自立』の役割


もともと私たちは動物としても『依存』という状態でこの世に生まれて来ます。
誰かに保護されないと、愛されないと生きていけない状態です。
そして、大好きなパパにもママにも、もっともっと愛されたい。もっと褒められたい。もっと役に立ちたい。
もっと一緒にいたい。そんな気持ちでいっぱいな時代を過ごします。

やがて『自立』という時代に入って行きます。
誰かに愛されることよりも、自分のやり方が大切になったり、自分の気持ちの方が優先になったり、
また、誰かにやってもらうより自分でやりたい。そんな気持ちの方が大きくなる時代です。

私たちはこのような『依存』や『自立』という心の状態を経験しながら一人の人間として大人になって行きます。

また、一人の人間としての成長や成熟だけではなく、社会との関係、仕事との関係、もちろん人との関係も、
この『依存』と『自立』を経験しながらその関係性を発展、また深めて行きます。
学校に入学した時、新しい部活に入った時、新しいことを始める時もまた新しい仕事に就いた時も、
始めは誰かから何かを教わったり学んだりする『依存』時代から始まり、やがて自分のやり方を確立『自立』して行きます。

また恋愛を考えてみてもそうです。
誰かのことが好きで好きで仕方なくて、一日中相手のことばかり考えている。
恋が始まった時に経験するこのロマンスの感覚。
これはどう考えても『依存』という心の状態だと思いませんか?
『依存』する気持ち『甘え』が、誰かに恋するという気持ちを経験させてくれるのです。
そしてやがていろんな形はありますが、
相手よりも自分の時間が大切になったり、自分の趣味やほかの事にも興味が戻っていきます。

SEXはどうでしょう?
もちろん男性陣からは『甘え』など微塵もなく必死で『頑張ってる!』という意見もあるかも知れませんが、
SEXという行為を考えると、やはり、大人なった私たちが誰かと深くつながり”甘え合える行い”なのではないでしょうか。

でもそうすると、SEXを求めること、また誰かを好きになる時も、
私たちの『依存』や『甘え』という心理が大きく影響しているわけです。

もちろんパートナーシップがすべて恋から始まるわけではないですが、自分の『依存』という気持ちを許せてないと、恋してしまう気持ちになることを無意識に避けてしまっているかも知れません。
またSEXを求める気持ちも、素直な表現では伝えられていないかも知れない。

「夫婦だったらそういう営みも必要だろう」とか、
「付き合っていればSEXがあって普通じゃないの」とか、
「そろそろ真剣に子供のことも考えたいし」という表現も間違ってはいないですが、

相手からそんな風に求めらたとしても、なかなか”そんな気持ち”にはなれない様な気がしませんか?
素直に『甘える』。そんな表現や態度の方が自然でスムーズな気がします。

パートナーとの関係だけではありません。
学校や部活で下級生や後輩が出来、自分が何かを教える立場になった時、
仕事で部下が出来た時も、また子育てもそうです。
彼らが見せてくれる『依存』を受け入れることが必要になって来ます。

また組織やチームで仕事をしているなら、一人ですべての仕事を抱えてやるよりも、成果やパフォーマンスを考える時、誰かに何かを任せたり、またお願いしたりすることも必要となってくるでしょう。
そこにも『依存』という心理と向き合えないと上手く出来ないことも出てきます。


心の中に『依存』も『自立』も両方あってもいい。
甘えることも頼ることも、また自分のやり方で自分でやることも、
その両方が心の中にあってもいいと感じられることが成熟した心の状態なのです。


『依存』や『甘え』を受け入れるとは


ただ、私たちの心が、もっと愛されたいと感じていた『依存』の時代に、たくさん傷つく経験もして来ました。
愛されたいと素直に思うから、人の態度や言動にも傷ついてしまうことが多かったのです。
心が傷ついた分、もう二度と愛されたいなんて思うものか!頼るものか!という気持ちで『自立』に移行します。
そして傷ついた分、もう一度自分の『依存』という気持ちを受け入れようとする時に抵抗を感じます。
また傷ついてしまうのが怖いのです。


『依存』という時代に充分に甘えられなかったという環境で生きて来た人は、
自分の中の『甘えたい』という気持ちを本当に見えないような心の奥深くに仕舞い込んでしまっています。


未だ自分が拒絶をすることが出来ないような時に、もしくは断れない関係で、
大切に思う人に『依存』を向けられたり、またその人の『依存』で苦しい悲しい思いを経験したならば、
あなたの中で『依存』や甘えることをすごく重たいものとして、また迷惑なものとして扱っているでしょう。


そしてあなたは『依存』を受け入れられない。素直に甘えられない。そんな心境になってしまっているのです。





では、どうすればいいのか・・・


今、もう一度その時の私の気持ちや痛み、感情を受け入れてあげてください。

もし、そう感じていたのがあなたという小さな子供であったなら、

イメージの中で、今、その子をあなたの膝の上にやさしく座らせたあげてください。


そしてその子の気持ちに目を向けてあげます。


その子は何も感じないよ。ってきょとんとしているかも知れません。

その子は歯をくいしばって、泣かないように下を向いているかも知れない。


ただその子を見つめてこう言ってあげるだけでいいです。


しんどかったね


苦しかった

悲しいかった

強かったね

よく頑張ったね


でもね、


もう頑張らなくても大丈夫だよ

甘えてもいいんだよ

もう泣いてもいいよ

寂しいって言ってもいいんだよ



そしてあなたの胸の中で、

その子が、愛されたいって思うことを、

甘えたいって思うことを、今、許してあげてください。


今、その子が平和な穏やかな顔で「愛されたい」って素直につぶやくことを、

あなたがまず許してあげてください。


甘え

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よしはらなおと【プロフィール】 
吉 原 直 人 
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。

● 吉原の詳しいプロフィールはこちら>>


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