僕達はいつも、何かに向かって一生懸命生きています。
それを手にするために、目標を達成するために、日々頑張っています。


小説を書いて、いつか作家として暮らしたい!
絵を描いて、画家になりたい。
会社を興して、がんがん稼ぎたい!
大儲けして、嫁さんを幸せにするぞ~!


誰しもが、夢や希望に向かって走り続けています。
人が一番輝いている瞬間です。


でも時に、いくら頑張っても成果が出なかったり、
その夢を手にするのに、あまりにも大きな障害に出くわしたりします。


その目標が果てしなく遠くに感じて、
もう、どうしても無理だと感じてしまう事もあるでしょう。


そんな時、長い間追いかけて来たものを、
諦めかけてしまう


・・・瞬間があります。


* *

  

僕は若い頃、音楽の道を目指していました。
中学の時ブラスバンド部で、トランペットという楽器に出会います。
内気で学校嫌いだった僕も、楽器で自分を表現出来る事が楽しくて、
仲間と一緒に一つの音楽を創りだすのが,嬉しくて仕方ない毎日を過します。


いつしか、僕はプロになりたい。
好きな音楽で生きていけたら、どんなに楽しいだろうと思うようになります。
そして高校に入ってからは、部活も辞め、
楽器が上手になるために、ひたすらレッスンに専念する様になります。
音楽の大学に進学するために、受験のために、楽器を演奏し続けます。


もともと、音楽に精通ていたわけでもなく、
演奏が秀でていたわけでもなく、悪戦苦闘の毎日を過します。
そして大学受験する直前に、こんなことを指摘されます。
「君のトランペットは、音を出す基礎が出来ていない」


ショックでした。もともと我流でやってきた事です。
「今のやり方では上達しない、プロにはなれない」
悩み抜いた末、僕はもう一度基礎からやり直す決心に至ります。


毎日毎日、音が出ない状態からの再練習です。
曲を一曲吹きあげることも出来ません。


かろうじて大学には進学しますが、
今までで演奏出来た曲すら、思い通りに奏でられないのです。
悶々と音を出す訓練に打ち込みますが、心はどんどん沈んでいきます。


そして最終的には、僕はその焦心から抜け出す事が出来ず、
大学も、音楽も、トランペットさえ手放してしまう事になります。


そしてそれ以来、ラッパを手にする事も無くなってしまいました。




それから何年もの月日が流れ、
僕は普通の仕事に就いて、ちょうど所帯を持った頃です。


僕は、時折ラッパを吹いている夢を見るようになりました。
それまで、そんな挫折をすっかり忘れて日常生活を楽しんでいたのに、
夜になると、夢の中で毎夜トランペットを奏でているんです。
それもたった一人で、気持ちよさそうにトランペットを吹いているのです。


そして僕は、その時になってやっと気付いたのです。


僕はトランペット吹きを目指しました。
プロになって音楽で生きて行く事を夢見て頑張っていたのです。
そして、それを叶えることが出来ず挫折をしてしまいました。


だけど・・・
僕が本当にしたかった事は何だったんだろう?


それは、ただトランペットを奏でる事だけだったんです。


トランペットと言う楽器で自分を表現する。
そして、皆でひとつの音楽を奏でる。
そして、それを聴いてくれる人がいる、一緒に楽しんでくれる人がいる。
ただ単純にその事が、僕の幸せで、喜びだったんです。


僕は、ただトランペットを吹く事が、僕の喜びで、幸せで、

ただそれが”やりたい事”だったんです。
  

* *


もし今、あなたが何かを諦めようとしているなら、もう一度思い出して下さい。
あなたがその目標を目指す前に、あなたが求めていたものは何だったのでしょう?


あなたが、喜びを感じ、幸せを感じるものはどんな事だったのでしょう?
今あなたが考えているより、もっともっとシンプルなものではなかったですか?


ただ、絵を描きたい。
ただ、音楽を奏でたい。
ただ、家族と豊かな時間を過したい。
ただ、自分を表現したい。
ただ、したい。


あなたは、今掲げている目標を達する前に、
あなたがしていた事が、あなたに最大の喜びと幸せを与えてくれていたのです。


そしてあなたを満たした”喜び”が、周りの人に広がって行く時、
プロになったり、会社になったり、お金が入って来たりするのです。


あなたを本当に幸せにしてくれていたものを思い出して下さい。
あなたを喜びに溢れさせてくれた事をもう一度思い出して下さい。


あなたの楽しさ、喜び、幸せが満ち溢れて広がって行った時、
あなたは”プロ”になり”成功者”となるのです。


あなたにもう一度、ただそれを「させてあげて」下さい。



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