少年は いつも窓の外を眺めていた
青い空に浮かぶ 大きな雲を
暖かい風に揺れる 木々の枝を
赤く焼けた空に沈む 眩しい太陽を
紫の空にひと際輝く 小さな星を
少年は いつもひとり眺めている
きっと 彼はそんなに大きな夢を望んでいるわけではないのだろう
かつてあった幸せを かつてあった暖かさを かつてあったつながりを
そんな場所を ただ思い出しているのだろう
ただそこに帰れることを 夢みているのだろう
そして少年がその夢をあきらめ 歩き出したとき
人は 彼が大人になったと言う
大人の僕たちは 少年が見ていた夢をこころの奥に秘め
いまだに 右往左往しているくせに