『許し』


カウンセリングや癒しの世界では定番の言葉です。

私を見捨てた彼を許しましょうとか、

自分のことしか考えていない旦那を許しましょうとか、

お父さんのことやお母さんのことを許そう。など、

誰かを許すとは、結局自分自身を許すこと、自分が自由になること…

頭では解っているし、そうした方が良くなることもなんとなく想像できる。


でも・・・


許せない。

絶対それだけはしたくない。

そんな気持ちになることがあります。

今回はなぜ許す必要があるのか? ではなく、

どうして許したくないのか? という心理に目を向けて見ます。





1.傷(痛み)が癒えてない場合


まず当たり前のことですが、僕たちの心の傷がまだじんじん痛んでいる時に、

相手を許すことなど出来ません。

カウンセリングでよく自動車事故に例えて想像してもらうのですが、

買ったばかりの新車で信号待ちをしている時、後ろから一方的に追突された!

来週、彼女と車で旅行に行く予定だったのに、首はムチ打ち、新車はボッコリへっこんでいる。


そんな時に加害者がお見舞いに来ても、


「いえいえ誰でもぼう~としている時ってありますよ。大丈夫ですよ」って言えますか?


もちろん大人としての対応はするでしょうけれど、

心の中では『お前何を考えて運転しとんじゃ~~』って言うのが自然な心の反応です。


もし『許してもいいかなあ』という心境になれる可能性がある状況を想像したなら、


首の痛みが癒され、

車は綺麗に修理され、

彼女と新しい旅行の予定も決まり。

怒りや悲しい気持ちも無くなって来た時、



ようやく相手のことを、



何かすごい心配事を考えながら運転してたのかな?とか、

何か大変なことがあってすごく急いでいたのかな?など、

相手がしてしまった行動の背景にある心理についていろいろ想像できるくらいに、

心に隙間(余裕)が出来るのだと思います。


最後に、許すか許さないかは心の選択です。



●心の痛みはどうしたら癒せるの?



事故の例えは、僕たちの心のしくみをわかりやすく表わしているのでよく使う話なのですが、

身体のケガは治療や投薬で癒せます。車は修理や相手からの賠償で解決できるでしょう。


では、心の傷ってどうしたら癒せるのでしょう?

それがカウンセリングで言う『 受容 』なのです。


簡単に言うと自分が経験した辛い気持ちや苦しかったことなど、

『 痛み 』を誰かに解ってもらう、聴いてもらう、理解してもらうことです。


少し深く考えると、誰かに受容してもらうことは同時に、自分自身でも受容していることになります。

何度も繰り返し心が経験したことを受容していくと、怒りや恨み悲しみが少しずつ減っていきます。

その感情はゼロにはならないかも知れませんが、同様に心に余裕(空間)を作ることが出来ます。



ただ、両親や環境などで抱えた痛みや感情などの場合、

そのために私の人生は○○になってしまったと感じていたとしたら、現在進行形の痛みを抱えていることになります。


この場合も、少し時間はかかるかも知れませんが『 受容 』と『 解ってもらう 』ことが、

心を楽にしていく方法のひとつだと考えてください。



2.現在進行中の場合



さて、過去に経験した傷や痛みは癒すことが出来ますが、現在進行している相手の行動についてはどうでしょうか?


不倫している妻

浮気を繰り返す夫

求めても与えてくれない相手


今、自分が傷つけられているのに、その相手を許すなんて・・・

無理! って感じますよね。


こんな相手を許してしまうと、私はずっと被害者のまま、

寂しい気持ち、悲しみ、悔しさ、怒り、そして惨めさ,

そんな感情をずっとずっと抱えながら生きていかないといけない。



それは嫌です。



そんな風に想像したら絶対相手を許したくはない。そんな心境になるでしょう。

でも、相手と別れたくはないという気持ちも同時に心の中にあったとしたら、


『 一緒に居るには許さないといけない 』 ⇔ 『 許せない 』

こんな心境を日々行ったり来たりして苦しい状況を抱えている方も少なくはありません。



また夫婦の関係だけではありません。

職場や他の人との関係でも、辞めることは出来ないけれど許すのも嫌。

このように現在進行中の痛みがある場合も『 相手を許せない 』という心境になってしまうでしょう。


* *


こんな場合は、一旦、相手を許すことをまったく考えないで、

自分自身を許す取り組みに徹して見ることもひとつの方法です。


癒しの世界ではよくよく出て来る、物の見方ですが、

僕たちは常に自分の心の中にあるものを写し出して外の世界を観ています。



例えば、


自分が性的な魅力やエネルギーを抑圧していたり、

またSEXを楽しむことを許していなかったり、

異性を性的な目で見る事を禁じていたりすると、


自分の周りの世界にそれを楽しんでいる人を創り出したり、また相手がそんな風に見えたりもします。


少し成熟した姿勢で自分に向き合わないと見えないことですが、

自分以外の人を『 許せない 』と感じる時、

本当は自分の内面にある自分を許せないでいたり、攻撃していたりするのです。



もちろんだからと言って相手の行動を許すことを考える必要はありません。

まず自分にだけ目を向けて見てください。



浮気や夫婦関係だけでなはなく許せない相手の、本当はどんな面が許せないのか?

を考えると、自分が抑圧したり、禁止しているものを見つけることが出来ます。

『 現在進行形の許せない 』の場合、相手は少し横に置いておいて、

彼らが見せてくれる『 許せない自分 』を許すことが今取り組めることです。



● まとめ



『 許し 』は癒しの世界で基本となる考えで、

実際にその人の心や人生に、大きな癒しと成果をもたらす方法です。


ただ『 許せるような自分でないといけない 』と考えてしまったら

『 許せない自分 を 許せない 』と言うパラドックスに陥ってしまいます。


まず『 許せない 』自分を「まあいいか」と受け入れてあげること、

それが『 許し 』の王道を歩き始めることとなるでしょう。


* *


もし本当に、僕たち自身がそれぞれの人生の創造主だとしたら、

親や環境、そして時に大切なパートナーとの関係を使って、

『 許せない 』という経験を自ら創り出していることになります。



だとしたら、その目的は何なのでしょう?

何故、許せない相手をわざわざ創り出したのでしょう?



そんな風に考えた時、見つけることの出来る答えは、やっぱり自分を愛することなのではないでしょうか?

あらゆる自分を徹底的に許し、受け入れ、愛すること、それが僕たちの本当の目的なのだと僕は考えます。



すべての自分を許すこと。

それは一生かかるかも知れないけれど、

まずは許せない自分から・・・





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よしはらなおと
【プロフィール】 

 吉原直人 1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
 自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
 子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
 その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
 優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。

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