僕たちは学校や部活、また職場でも、
大切な人との間で自分が考えていることや感じていることを伝える事が、
いかに大切なものなのかを、色んな経験を通して何度も何度も学んで来ました。
そのわりに夫婦のコミュニケーションはおろそかにしている。という事が多い様です。
「最近、旦那と話をしたことなんてないわ」とか、
「うちの夫婦はコミュニケーション不足でね・・・」など、
身近にいるご夫婦のお話しでもよく出てくる言葉だし、
また自分でも「うちの夫婦はコミュニケーションが十分足りているか?」と考えて見ると、
「十分足りている」と言える人は少ないのではないでしょうか。
確かに夫婦という関係は、他の人間関係よりもより親密で、
「甘えること」が許される場所であるかも知れません。
「いちいち話さなくても解ってくれているだろう」と言う期待もありますし、
また『自分のことを伝える』という事は、すごくエネルギーが必要な事ですし、
身近な関係だと、照れや恥ずかしさという気持ちが大きくなって邪魔する事もあるでしょう。
すごく大切なことだと解っているのだけど、
なかなかむずかしい「夫婦のコミュニケーション」について今回は考えて見ます。
話すことで喧嘩に!?
会話が少ないというご夫婦の中には、
「相手と話をすると、必ずいつも喧嘩になってしまうんです・・・」
そんな理由で、必要最低限の事だけを伝えて、出来るだけ顔を合わせない様にしている。
そんなご夫婦も存在します。
喧嘩になるとやっぱり嫌な気分になってしまいますし、
お互いそんな気分になるぐらいなら、あえて話をしない方が良い。そんな風にも考えてしまいますね。
長年一緒に生活していると、そう感じる”瞬間”ってどこの夫婦でも結構あるのではないでしょうか?
頑張って話をしたら、結局大喧嘩になっちゃった。
うちの夫婦でも日常よくある事です。
人は自分の中にある感情を通して相手の話を聞いている
僕たちは普段自分の心の中にある感情(自覚しているかしていないかは別です)を通して、
相手の話を聞いています。
例えば、もしあなたが本当は旦那にいつも手料理を作ってあげたいと考えている女性で、
でも最近仕事が忙しくて、なかなか思うように旦那に料理を作ってあげられていない。
その事を心のどこかで申し訳ないなって感じているとすれば、
旦那さんが後輩の家に行って後輩の奥さんの手料理をいただいた時の事を、
「美味しかったなあ、あいつはあんなまめな奥さんをもらって幸せだろうなあ」
と感想したら、あなたは旦那さんの言葉をどう感じるでしょう?
僕たちは必ず自分の心の中にある「何かの感情」を通して、
相手の言葉を解釈してしまうのです。
これはあなたもそうだし、あなたのパートナーもそうです。
僕たちは会話で何を伝えているのだろう?
では逆にさっきの旦那さんが、
実際に、最近奥さんがご飯を作らない事に不満を持っていて、
その事をずっと我慢していたり、寂しいと感じたりしているとしたら、
何を奥さんに会話で「伝える」でしょう?
「我慢」というのは心理的には「怒り」というエネルギーを使って、
何か別の感情を押さえ込もうとする事です。
だから我慢をしている事を伝える時には、
どうしても怒りと言う感情とともに出て来てしまいがちです。
「お前、ずっと言わなかったけど、最近ろくにめしも作らんと何考えとんねんっ(怒)」
さて、この言葉、奥さんの心はどう感じたでしょう?
相手が怒っている事も、自分に不満を持っている事も伝わっているし、
間違いなく「責められている」と感じます。
この時、奥さんはどう反応するでしょう?
僕たちは心の中で、申し訳ないなって感じている事を指摘されたり、
また責められたりしたって感じると、まずはじめに「怒り」が出て来ます。
この時「怒り」を相手にぶつけたり、また引きこもったり、まただんまりを決めたり、
その反応は人それぞれですが、どんな反応だとしてもその心の中は「怒り」でいっぱいです。
「怒り」を伝えて、相手も「怒り」でいっぱいになってしまう。
まさに喧嘩ってこんな風ですよね。
コミュニケーション「伝えきる」
「怒り」も、コミュニケーションで伝える事の出来る感情ですから、
間違いではありません。
それに「怒り」が伝わって何かに気付く事も多いです。
ここにひとつ格言があります。
コミュニケーションを通して相手との関係がこじれるのは、
●「伝えたもの」から生じるのではなく、「伝えきれなかったもの」が問題を作る。
どう言う事なのでしょうか?
僕たちが普段繰り返している喧嘩で「伝えきれなかったもの」とは何でしょう?
ヒントは「怒り」の下に隠れている僕たちの「感情」なのですね。
さっきの奥さんの例だと、「申し訳なさ」もあるし「本当はこうしてあげたい」という気持ちもそうです。
旦那さんの方はどうですか?
「寂しさ」もそう「料理を作って欲しい」もそう「かまって欲しい」もそうかも知れない。
今さら嫁さんに「かまってくれないから寂しい」って言えってことかっ?
なんて思わずに、
でもさっき「怒り」を伝えて何かに気付いたって?
たぶん「そのこと」に気付いたんですよね。どちらかが・・・
さっきの話では「手料理」でしたが、僕たちが求めているものは他にもあります。
「SEX」もそう。「自分との時間」もそう。
「自分のことを見てほしい」もそう。「一緒に居て欲しい」もそう。
もちろんそのことを伝えた事で、相手に笑われるかも知れない。
出来ないって断られるかも知れない。
また相手が何か痛みを感じるかも知れない。
それを伝える事によって傷ついてしまうかも知れません。
でも僕は夫婦の会話は、時にはリスクがあってもいいと思っています。
僕たちは恋として始まっても、また違う出会いで始まっても、
その人との関係で、はじめに大きな”ロマンス”の時間を必ず味わって来ました。
そして時間が経つと、もう”ロマンス”なんてまったくなってしまったと、嘆きます。
でもロマンスを感じていた頃を少し思い出して見てください。
恥ずかしさと向き合いながら、自分のことを相手に伝えたり、
傷ついてしまう怖れを抱えながら、相手に近づこうとしたりしませんでしたか?
リスクを乗り越えていたからこそ、ロマンスがあったのです。
二人の関係でそれがなくなったのは、何時知れず僕たちがリスクを避ける様になったのかも?
夫婦やパートナーシップのお話をしている時、
「ロマンスの時期は、初めだけではなく幾度も訪れるんですよ」とよくお伝えします。
そしてこのリスクと向き合いながら、
本当の自分の素直な気持ち、そして自分が求めているもの。
それを 伝えきる こと。
それがもう一度二人の関係にロマンスを取り戻す機会でもあるのです。
もう一度 冒険 して見ませんか。
【プロフィール】
吉 原 直 人
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。
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