「SEXレスへの取り組み」 自分の気持ちを否定しない
前回の「心構え」では、
お互いの苦しさや感情を理解し合う事をお話しましたが、
相手の感情を理解する事でとても大切な事があります。
それは、自分の気持ちを否定しないという事です。
僕達は普段・・・
相手の気持ちを理解する = 自分の気持ちは間違っている
自分の気持ちは正しい = 相手が間違っている
こんな風にどちらかの気持ちを、正しいまたは間違いと言う判断をしてしまいます。
そうすると、相手を理解するという事は、
自分の感情をがまんして、相手のために犠牲になるとか、
自分の気持ちを抑圧して、相手の気持ちだけを理解しようとしてしまいます。
行動として間違っているとは言えませんが、心や感情の話をすると、それは無理です。
心は、自分の気持ちを抑えて相手の気持ちだけを理解しようとすると、
自分の気持ちを我慢した分、相手との距離を広げてしまいます。
SEXレスだけに限らず、
僕達が人との距離を作ってしまうその距離とは、抑圧した感情なのです。
例えば、あなたが会社の上司に嫌がらせをされたとします。
普通、頭に来ますよね。怒りを感じます。
だけど仕事だから仕方ないと我慢します。
では、怒りの下側にはどんな事を感じているでしょう。
無視されたり自分を認めてくれなかったとしたら、悲しさや悔しさも感じます。
だけどこれもまた我慢します。
すると、会社にいっても、その上司とは話したくないとか、目を合わせるのも嫌な気持ちになってしまいませんか?
嫌がらせがずっと続いたとしたら、会社にさえ行きたくなって来るでしょう。
僕達は、その人との間で感じた感情を溜め込んだ分だけ、その人と距離を作ります。
SEXレスや、そのほかの問題でカウンセリングに来られた時も、まずは、心の中に抑圧した感情を解放してもらいます。
長い間抑圧を続けていると、それがどんな感情だったかも解らないという事もよくあります。
SEXレスとは、相手との間に作った心の距離の問題でもあるのです。
これ以上距離を大きくしないためにも、まず自分の気持ちを受け入れる事から始めて行くのです。
では、相手の感情を理解するとはどういう事なのでしょう?
カウンセリングでは、よくこんな言葉を使って説明します。
「感情レベルで理解する」
僕達は今までに色んな人生経験を経ています。
今更、相手の気持ちを理解しろと言われなくてもきちんと理解しています。
・・・頭では。
でも実際に相手との距離を縮めるためには、感情を理解出来ないと難しいのです。
僕達は、相手の気持ちや感情を本当に理解する時、
自分の感情を経験して、その感情を通じて相手の気持ちを知るのです。
例えば、
SEXレスを過大に問題視して、あなたを責めてくる彼女の態度は理解しがたくても、愛する人に受け入れてもらえない”せつなさ”や”寂しさ”はあなたも経験した事があるでしょう?
昔、一生守っていこうと決意していた彼女に別れを告げられた時、あなたは自分自身のすべてが否定された様に感じませんでしたか?
ずっと恋心をあたためていた人に、受け入れてもらえなかった時、心の中はあまりにもせつなく無かったですか?
今、彼女はその”せつなさや寂しさ”でいっぱいなのです。
どうしても私と向き合ってくれない彼の態度は理解出来なくても、愛情が足りないと責め続けられる”苦しさ”は、あなたも経験した事があるかも知れません。
若い頃の恋愛で、彼が仕事で失敗した事をあなたのせいにしたとしたら、そしてその失敗で彼が苦しみ続けているとしたら、
あなたは、心の中に何か苦しさを覚え、
彼に近づきたくない様な気持ちにならなかったでしょうか?
今、彼はその”苦しさ”を感じて近づいて来ないのです。
僕達は、自分の感情を通じて相手を理解し、相手と近づいていけます。
もし、自分の感情を抑圧したり、感じない様に頑張っていれば、同時に周りの人の感情にも気が付けなくなってしまいます。
愛する人にすべて受け入れて欲しい。
愛されていると安心したい。
という気持ちも、
今、どうしても相手の期待に答えられない。
という気持ちも、
どちらも間違っているわけでもなく、誰かを否定しているのでもなく、 僕達が経験するいたって自然な感情なのです。
そして、今そんな”心の状態”があるだけなのです。
相手の気持ちを理解するためにも、あなたが癒されるためにも、今感じているあなたの感情をまず受け入れてあげてください。