心の癒しに取り組み出すと・・・

いずれ『許し』という言葉の前にたどり着く。
簡単にそのことを受け入れられる事柄もあれば、どうしても受け入れられない時もある。
何百と言うワークやセッションを体験して来ても、多くの場面で人は誰かを許すことに『抵抗』する。
それだけ私たちの心は痛みを経験しまた傷ついて来たのだと思う。



とりわけ親との関係で受けたひずみや傷に対して目を向ける時の抵抗は大きい。
何度も書いているが、私たちは一人で生きられない状態で産まれてくる。
人間はほかの動物に比べて、立ち上がることも自ら乳を探すことすら出来ない状態で産まれる。
その時、親が育てる事を「もうやめた」と言えばその日すら生き延びる事が出来ない。
親の意思が私たちの生死を決められると言っても過言ではない。
おそらくその時、親とは私たちにとって神様よりも大きな存在だったのではないだろうか。
また一人で生きられる様になるまでの期間も数カ月と言う単位ではない。



その大きな存在が、子供に向けて発した言葉や行動。
またその存在が持っていた感情や観念がどれほど私たちに『大きな影響』を与えたかは考えてみればわかる。
直接的な言動に傷ついて来た事もあるし、また親の気持ちを埋めるための所有物の様に扱われて来た場合もある。
周りから一目瞭然で解ってもらえる痛みもあれば、なかなか見えにくい痛みも存在する。

『許す』とは、その関係でまたその後の人生で経験し続けて来た悲しみや苦しみや様々な苦痛ともう一度向き合うことでもある。
当然、抵抗する気持ちになってもおかしくはない。
もちろん心が『許し』に辿り着くまでに『受容』と言うプロセスが必然な事は言うに及ばない。
心が抵抗を感じるならば、痛みを聴いてもらうなどの作業を繰り返し行う必要がもっとある。



抵抗

『許す』目的とは、親を好きなるとか、人を許せるような立派な人間になるためではない。
少なくとセラピストである僕にはその様な目的は一切ない。

今、あなたとパートナーとの関係が良くなるために。
恋愛相手との関係、また恋愛自体が良くなるために。
お金や豊かさとの関係が良くなるために。
あなたと人生との関係がよくなるためにである。

『許す』とは、今のあなたに『影響』しているものからあなたが自由になる手段なのだ



少し許す話から逸れるのだが、心に与えている『影響力』の話で、僕にこんな経験がある。

僕が離婚をしてしばらく経った時、未だ同じ職場で働いていた元奥さんを見て、
「あれ、彼女ってこんなに小さな女性だったんだ」と感じた時のことをすごく鮮明に覚えている。
離婚をするまでの3年ほどの間、別れたいと言い出した彼女をなんとか説得しようと必死だった。
僕の心の中では『彼女に愛されること』がとても大きな課題だったのだ。
そんな時、僕の心の中では彼女が『大きな大きな存在』になっていたのだと思う。



『愛されたい』と言う思いや気持ちが間違いだと言う事ではない。
ただ、愛されたい、認められたいと言う気持ちは、自分の心の中の相手を大きく感じさせる。
彼女と別れて愛されたいと言う気持ちが少し減った時、等身大の彼女を見ることが出来た。
本当は『愛されたい』と『愛したい』と言う気持ちのバランスが、僕の結婚生活での課題だったのかも知れない。



許す目的

今、実際に親があなたの人生に何かの『影響』を与えているのではない。
あなたの心の中にいる『大きな存在』が、今のあなたの人生に『影響』を与えているのだ。
離婚する前、僕は妻に愛されないことは『人生の死』に近いように感じていたと思う。
思い出して欲しい、私たちにとって親とは『大きな大きな大きな存在』だったのだ。




~心の中の大きな存在から自由になるためのワーク~


両親がまだ小さな少年や少女だった頃をイメージしてみてください。
彼らにも大きな影響を与えた存在があり、また小さな彼らを色んな環境が取り巻いていた。

兄弟が居たり居なかったり。
お金が有ったり無かったり。
自分の居場所が有ったり無かったり。
その心に痛みやどうしようもない寂しさを抱えていたり。
怖れや不安に震えていたり。

そしてそんな小さな少年と少女の身体と心が少し大きくなり、僕たちが産まれた。
僕たちは決して成熟してから子供を授ったわけではない。
それは僕たちの両親もそうだった。
でもその未成熟な少年と少女は、その時自分の中に芽生えた想いで僕たちの命を守った。
その心にたくさんの痛みを抱えながらも…精一杯。


『許し』とは、誰かの間違いを過ちを見逃すことではありません。
『許し』とは、あなたの痛みから目をそらすことでもありません。
『許し』とは、あなたが知った事実を無視することでもありません。

『許し』とは、ただ等身大の彼らを見ようとする意志なのです。


僕は、本当は私たちが両親を選んで生まれて来ると言う話を信じています。
私たちはその大きな『影響力』を乗り越える力が自分にあると信じてその場所に生まれ来たのだと思っています。

そしてあなたは、あなたに『与えられなかったもの』がどれだけ大切なものだったのかを誰よりもよく知っています。
そしてそれは、あなたがこの人生で『与えることの出来るもの』なのです。


与えることが出来るもの

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