Q.子供の頃からずっと「子供が嫌い」で、旦那からは妊娠すれば変わると言われています。克服できるものでしょうか? 
    >>”bythem”に寄せられたご質問から


心の中に『子供が好きでなければ子供を産んではいけない』そんな思いがありますか?

「私、子供があまり好きじゃないの」と言うお母さんでも立派な子育てをされている方はたくさんおられます。逆に、「私、子供が大好き」というお母さんでも「ん?」という子供に対する接し方をされている方もいらっしゃいます。子育てに本当に必要なことは、子供好きだったり、嫌いだったりすることよりも、その子が将来大人なった時、男として女として人としてどうなれれば幸せになれるのだろう?そのことを「想像する力」の方が大切なのではないでしょうか。


子供が嫌い

§どうして「子供が嫌い」なのだろう?

とは言っても、自分でも「子供が嫌い」と自覚されているなら、妊娠することや子供を作ることに対して、心はとても大きな不安を感じています。
どうして「子供が嫌い」になったのか?を少し考えてみましょう。
私たちは自分の心の中にある”自分が持っている一面”を外の世界に映し出して、何かを感じています。
例えば、自分がすごく依存的だと感じていてその面を攻撃しているとしたら、外の世界でそれを見せてくれる様な人に対して、同じように攻撃的になったり、またすごく嫌いになったりします。


では”子供の面”とはいったい何でしょうか?
甘え、依存的、わがまま、感情的、素直、残酷、自由、言うとおりにならない etc.
ここは人それぞれ、子供が象徴する色んな面が思い浮かぶでしょう。一面というより子供という存在すべてと感じているかも知れません。
私たちは自分が子供だったり、今イメージした子供の面をいっぱい持っていた頃に、周りの世界に、その”子供の面”を十分に受け入れられたと感じられた分、自分自身でも、その面を受容、受け入れられようになります。
子供の頃、自分のわがままを叱られていたとしても、受け入れられていたと感じられている分、自分の子供が同じようにわがままを言っても、心のどこかで「子供だから仕方ないよね」と感じられると言うことです。


でももし、子供の面を受け入れられなかったり、表現出来なかったと感じていたら・・・
小さい頃、わがままを言えなかったり、甘えることが出来なかったり、『子供』でいられない環境だったとしたら、私たちの心は自分の”子供の面”を心の深くに押し込めたり、無かったようにしようと働きます。


少し想像してください。
まだお母さんに甘えていたいという気持ちでいっぱいの時に、お母さんが何らかの理由で傍に居なかったとしたら、お母さんに甘えたいと感じれば感じるほど心は苦しくなります。その苦しさに耐えられないと感じた時、私たちの心はその想いや感情が無かったことにしようとします。


このことをカウンセリングでは心や感情の『抑圧』と呼びます。


『抑圧』する方法として、その面を攻撃したりまた嫌ったりします。子供の頃に子供で居ることが許されない環境だった、子供では居られなかった。だから自分の中の子供という面を無かったように扱っている。もし、そんな心境を持っていたとしたら、自分の子供や周りにいる子供をどう扱っていいかわからない。そんな心境になってもおかしくはないです。


「子供が嫌い」とは、
子供に対する愛情が薄い”冷たい大人”なのではなくて、自分の中にあってもいいはずの”子供の面”を受けいれられないでいる。そんな心の状態なのです。それがいけないことなのではなく、自分が”子供の面”を抑圧しないと生きて来れなかったことを、まずは自分が優しく知ってあげることが大切なことなのではないでしょうか。


君と僕の悲しみ

§「子供が嫌い」は克服しないと子供を作ってはいけない?


”子供の面”を抑圧するのは、特別な環境に育ったからだけでもありません。
私はすごく甘えさせてもらえたけれど、あまり自由は与えられなかったわ。とか、私はとっても自由にさせてもらっていたけれど、子供の頃から感情的になることをすごく怒られた。など、こんな”子供の面”は受け入れられたけれど、違う”子供の面”は表現出来なかったという経験は誰もがしています。


そして私たちは自分の子供時代に経験して来た依存する気持ちや甘えると言った気持ちを、捨てたり、嫌ったりして大人になって来ました。それは『自立』するという成長の過程では皆に必要だったことです。ただ心が成熟していくために、より豊かな人生を築くために、もう一度”子供の面”を受け入れないといけない時がやって来ます。


誰もが自分の”子供の面”を嫌ったり抑圧している心理を持っているのです。そして自分の心に向き合って、自分が嫌ったり抑圧して来た一面を受け入れることは、今まで自分を縛っていた束縛から解放されたり、今まで欲しいのに手に入らなかった豊かさや幸せを手に出来たり、人生にとってとても意味のある取り組みです。カウンセリングやセラピーでもこのような抑圧して来た”子供の面”を癒すことはよく行います。


子供を育てる』ことは、必然的にそんな自分の”子供の面”と向き合うことでもあるのです。


そして私たちは自分の親に対して、完璧でなかったことを責める気持ちを持っている分だけ、自分が親になることに抵抗します。自分が完璧ではないこと良く知っているからです。でも、子育てとは『完璧な存在』『未熟な存在』を育てる行いなのではありません。お互いが学び合うのです。


子育てを通してあなたは自分の子供の面と向き合います。
子供を産み子供育てることを通してあなたは誰かを許すことを学びます。
一人では出来ない命を育む行いを通して、あなたは誰かに助けを求めることを学びます。


子育てとは親も子供も共に学び合う『機会』なのです。


もしあなたがスピリチュアルな世界のものの見方に抵抗がないなら、あなたの子供の魂は、あなたと学びそして教え合うためにあなたを選んで生まれて来ます。
子育てを機会やチャレンジという言葉で表現すると少し軽率に聞こえるかも知れません。でも、命を体内に育みこの世に出産することでさえ、命をかけた大きなチャレンジなのではないでしょうか。


子供が好きだから正しい子育て出来るわけではありません。子供というのはその命の”ある限られた時間”です。あなただからこそ、その子が大人になった時に必要なことを直視出来ることもあります。


もちろん、学び合うのは子供との関係だけではありません。
ただもし、あなたの気持ち、そしてあなたの愛する人の気持ちを考えて、あなたが子供を持つことを選択しようとする時には、この話があなたの選んだ道に一歩踏み出す勇気になれることが出来たら嬉しいです。


あなたがほかのお母さんよりも少し余分に必要とする”大きな勇気”は、きっとあなたの人生の大きな喜びとあなたに育まれる命の大きな幸せに必ずつながります。


大きなしあわせ




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よしはらなおと【プロフィール】 
吉 原 直 人 
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。

● 吉原の詳しいプロフィールはこちら>>



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