今この原稿を書いているのは11月半ば・・・
街を歩けば、もう、クリスマスの着飾りが始まっている。
一年でいちばん”あたたかい”季節だと僕は感じている。
クリスマスが近づくといつも心に浮かぶ光景がある・・・
家族が全員着飾って、キラキラした街を楽しそうに歩いている。
いちばん後ろには、奥さんと子供たちのプレゼントを腕いっぱいにかかえて歩くお父さん。
実際にそんな風に街を歩いた経験は一度もない。
でも、毎年色鮮やかな街を見る度にそんな想像が僕の心をあたたかくしてくれる。
ふと考えると、僕はもう、この星で50回以上のクリスマスを経験している(笑)
それはそれでちょっとショックだ!
・・・50回かあ、思い出せないクリスマスも多いな。
一番最初のクリスマスの記憶はたぶん、家で、ツリーにサンタさんやトナカイをひっかけて、
雪に見立てたわたを一生懸命巻きつけている光景。
きっとわくわくして楽しみで仕方なかっただろう・・・
子供のころ、毎年ずっと同じ家でクリスマスを迎えていなかったと思う。
時には母と二人っきりで、また弟と三人で、自分の家でない誰かの家で過ごしていた事もあった。
でもどこにいても、あたかさを感じて過ごしていた様に思う・・・
少し大人になると、ひとりで過ごしたクリスマスも多い。
部屋でひとり、ラジオに耳を傾けていたり、窓から外を眺めていたり、
なんだ世間はクリスマスかって、少し冷めた目でクリスマスを遠くから眺めていたことも。
それでもなぜか心は”あたたか”かった。
大人になると、特別な人と過ごす”スペシャル”な日ももちろんあった。
そして子供が出来ると、今度はもっと特別な日になった。
プレゼントは何を買おう。何を食べよう?どんなクリスマスにしよう!!
きっと自分が子供の頃よりもはしゃいでいた様に思う・・・
でも、そのせいでちょっとした苦い経験もある。
前の奥さんは、家族で過ごすクリスマス一色になる僕のことを、
少ししんどかったと家を出る時に言った。
実は、僕の誕生日は12月。クリスマスの月。
彼女は誕生日の前の日に家を出て行った。
ひとりで過ごすクリスマスもあった。
家族と過ごすクリスマスもあった。
別にこれと言って何もないクリスマスもあった。
大切な人がいなくなったクリスマスもあった。
いろんなクリスマスがあったけれど、
でもやっぱり僕はなんだか”あたたかい”ってそう感じている。
なぜなのだろう?
大切な人と過ごすから”あたたかい”??
でも本当はそうじゃないのかも知れない・・・
朝、「やっぱり!サンタさん来てくれたんだ~~」
って大喜びする子供の笑顔を想像して、おもちゃ屋さんを行ったり来たりしている時。
大好きな人が喜ぶ顔が見たくて、キラキラの街をプレゼントを探して彷徨っている夜も。
心の中はあたたかい。
きっと、心の中が誰かのことでいっぱいになった時、
僕たちの心は”あたたかい”って感じるのではないのかな?
それならクリスマスでなくても今”あたたかく”なれるかも知れない。
楽しい思い出をたくさんくれたあの人のことを、
自分にたくさんの愛を与えてくれたその人で、
今はもう会えないとても大切な人。
いつも傍にいてくれているその人のことで、
心の中をいっぱいにして見る。
そう、中には結局わかり合えなかったって思う人がいるかも知れない。
でも、せっかくなので、楽しかった日々を想い”ありがとう”を贈って見る。
きっと僕たちの心は、
誰かのことを考えている時、
誰かのことを想っている時、
誰かのことで心がいっぱいになった時”あたたかい”って感じるんだ。
だから今宵、誰かのことで心をいっぱいいっぱいにして見よう。
【プロフィール】
吉 原 直 人
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。