最近、あるお客様から数カ月ぶりのご予約を頂きました。
はじめてお話したのはちょうどご主人が離婚を言い出して別居生活が始まった頃、
そんな時に「別に離婚になってもいいや」って思える人は、
おそらく僕の所に来られる事は無く・・・
彼女も「どうしても離婚はしたくないんです」とかなり追い詰められた状況からのスタートでした。
その気持ちは本当に強かったのだと思います、毎回僕が提案する宿題や課題に、
本当に真剣に取り組んで下さっている事がお話していてよく解りました。
それが最後にお話した頃には、子供さんと三人で月に一度外でお会いされる様にまでなっていて、
僕もすごくいい感じだなあって思っていました。
そして先日の予約は、また一緒に暮らし始めたというご報告だったのです。
もちろん復縁する事だけが幸せだったり、目標だったりではなく、
いろんな幸せの選択肢があるのだと言う事は特筆するまでもないですが、
彼女が語ってくれた、もう一度一緒に暮らすに至るまでの”彼女の心の変化”がすごく印象に残ったのです。
あれから主人と会う機会も少しずつ増えて・・・
と、今までの経緯を細かく教えて下さって、
「でも私、もうどっちでも(一緒に暮らす事)いいかな」って言う気持ちが芽生えて来て・・・
「でも実家からはそろそろ出よう」と決めて、
その事だけを彼に伝えたら、じゃまた一緒に暮らそうかと言ってくれて・・・
それは、お話を伺っていた頃のご主人からは、想像も出来ない言葉だし、
また彼女も、そこに至るまでには、苦しい思いを抱えながら真剣に自分に向き合い、
彼や周りの人にも、傷つきながらもずっと自分の気持ちを伝え続けて来られたのです。
彼女の「もうどちらでもいいかな」って思えて来て・・・
という彼女が到達した心の状態の事を、カウンセリングを終えても僕はずっと考えていました。
決してそうせざるを得ないからあきらめたと言う状態ではありません。
どちらの可能性も受け入れられるというとても穏やかな心の状態なのです。
僕からすると彼女のこの心境も、あの頃からは想像出来ない事だったのです。
でも実は、この心の状態を話されるのは彼女だけではないのです。
同じ様にご夫婦の問題に取り組まれている方も、
恋愛や幸せな結婚に取り組まれて来た方も、
また仕事や趣味などである目標に向かってこられた方も、
目標地点に来られる前や何かを手にされる直前によく経験される心の状態なのです。
もちろん、やるべき事は全てやり切ったから到達できる状態だとも言えるでしょう。
また夫婦の関係で言えば”どちらでも”という心境には、
別れる事を受け入れられるのは、相手に対する「執着」を手放せている状態ですし、
また一緒に暮らすのもOKという事は、相手に対する「許し」も出来ているのです。
その対象が愛する”人”であっても、どうしても手にしたい”もの”であっても、
自分に必要だと思えば思うほど執着する気持ちは強くなるし、
頑張れば頑張るほど、たくさんの感情を心に抱えてしまうでしょう。
でもそんな色んな気持ちをも手放せている状態なのです。
こうじゃないと幸せじゃないという心境は、
心にはひとつの選択肢しか与えていないのです。
でも”どちらでもいい”とは、
心はどちらも選択できる状態にあります。
この心に選択肢が与えられている状態がとても大きい意味を持ちます。
そして注目するのは、この心の状態になられた方は、
ずっと自分が求めていたものを手にされて行く事なのです。
もちろんご本人はすでに”どちらでもいい”という心境になられているわけですが(笑)
そうは言っても・・・
”もうどちらでもいいかな”
と言う”心の状態”には、なかなかたどり着けない。
でも、もしかしたらそう難しくない場所なのかも知れない。
今どうしても手に出来なくて苦しんでいる事があるのなら、
”どちらでもいいかな”
という”心の状態”にたどり着く事を”目標”にして見るのはいかかでしょう?
結構”近道”かも知れません。
【プロフィール】
吉原直人 1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。