若い頃、あまり話をしない厳格な父に一度だけ尋ねた事がある。

「どうしたら・・・ どうしたら、自信が持てるんだろう?」

厳格な父は答えてくれた。

「自分を信じることだ」

その頃、まだまだ父に対して距離を持っていた僕は、

納得のいかない気持ちを抱えながらも、それ以上は聞く事はしなかった。



自分を信じること。それが出来るのなら聞きはしないのに・・・



あれから何十年経ったのだろう。

自分を信じることが出来ないままに、色んな経験だけを積み重ねて来た自分。


掴むことの出来なかった夢。

途中で投げ出してしまった目標。

守ることが出来なかった家庭。


いつか、自信を持てるようにと頑張り続けて来た。

いつか、人を守ることが出来るような自分になろうと。

いつか、人に賞賛されるような自分になろうと。

いつか、自分を誇れるようになりたいと。


そして、いつかは自分を信じられるような自分になれるのだと。

ただただ一生懸命生きて来た。


だけど、そんなもの、いつになっても手には出来ていない。

人生の半分を生きて来ても、

不安で眠れぬ夜がある。


自分の力を疑って止まない日がある。

自分を責め続ける朝がある。

確固たる自信なんて、いつになっても手には出来ない・・・



ただ、今、ひとつだけ、

あの頃の僕とは違い、確信している事がある。

「 自 信 」 それは自分を”信じようとする気持ち”だったのだ。

苦しくても、悲しくても、辛くても、どんな経験をしていたとしても、

自分を”信じようとする気持ち”なのだ。

失敗しても、うまくいかなくても、不安で押し潰されそうになっても、

自分を、信じようとする気持ちを持ち続けることなのだと思う。


どんなみじめな思いをしたとしても、

最後の最後まで、自分を信じ続けようとすること。

もし君が今、自信をなくしているのなら、

もう一度、自分を信じようとして欲しい。

どんな思いをしていたとしても、自分を信じようとして欲しい。

世の中の誰一人も、君を信じようとしなくても、

君が、世の中で君を信じるはじめの一人になればいい。

最後の最後まで、命が有る限り、自分を”信じよう”として欲しい。

きっとあの頃の父も、君の父も、そうしていたに違いない。





よしはらなおと【プロフィール】 
吉 原 直 人 
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。

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