妬み という感情
私達が誰かを見て感じる気持ちの中に「妬み」という感情があります。
自分より、
才能豊かな人、友達が多い人、お金を持っている人、成功している人に、
など数えればきりがありません。
子供の頃から「人のことを妬んではいけません」とよく叱られて来ましたが、
自分より良いものを持っていたり、自分には無いものをたくさん持っている人を見ると、
やっぱり「羨ましいなあ」って感じてしまいます。
だけどこの「羨ましい」という気持ちも、
自分がどうしても欲しいものなのに手に出来なかったり、
努力しても努力しても叶わない時、
それは、「妬み」や「嫉妬」という強い感情にも変わってしまいます。
ずっとパートナーが欲しくて努力して来たのにパートナーができない。
一生懸命生きてきたのにどうしても幸せになれない。
努力しても努力しても成功できない。
心が、こんな気持ちでいっぱいなってしまっている時、
その欲しくてたまらないものを持っている人を見たら、
心の中は「妬み」の気持ちで満たされてしまい、
時には苦しくなるほどその感情は強くなることさえあるでしょう。
嫌な感情を抑圧すると・・・
さてこの「妬み」や「嫉妬」と言う感情ですが、
この感情が大好きですと言う人はいないと思います。
誰にとっても嫌な感情ですし、あってはいけない感情の様に思っているかも知れません。
そしてこの気持ちを感じないですむ様に、感情を抑圧してしまいます。
「俺はあいつの様な成功なんてあまり興味はない」
「あの子の様な生き方はしたくないもの」など自分に言い聞かせたりします。
あるいは嫉妬を感じたくないがために、それを感じさせる人に会わない様にしたり、
また距離を置いたりしてしまう事さえあるかも知れません。
これではせっかくの人間関係を狭くしてしまいます。
実は、私達が「あいつ嫌だな」って感じている相手に対して、
心の中を良く観察すると「妬み」や「嫉妬心」が見つかることも多いです。
嫌な感情だけに、自分にはそんな気持ちは無いと頑張ってしまいますが、
そうして感情を抑圧すればするほど、実はその感情は強化されていくのです。
「怒り」という感情を考えて見てください。
怒りを素直に表す人は、少しのことでもすぐ怒りますが、
次の日にはそのことをすっかり忘れてしまっていたり、
また逆に普段絶対怒らない様な人の方が、
ずっと以前に起こった出来事を、今でも根に持っているような事ありますよね。
すべての感情は、感じてしまえば無くなってしまいますが、
感じたくないと思って抑圧したりすればするほど心の中に蓄積されるものです。
私達が「しんどい」とか「苦しい」という時、
この感じないようにしている抑圧された感情がいっぱいいっぱいになって、
身動きが取れない様な状態になっている時が多いのです。
「妬み」や「嫉妬」と言う感情も同じなのです。
感じないようにすればするほど、強化されて苦しくなってしまいます。
「妬み」の気持ちを受け入れる
「妬み」や「嫉妬」とは、人がある状況で自然に出てくる感情です。
決してその気持ちは、正しい感情でも悪い感情でもないのです。
強いて言えば、嫉妬にまかせて否定的な行動をしたりすると、
人を傷つけたりまた自分が傷ついたりすると言う事なのです。
まずは嫉妬を感じていることを素直に認めたり、
人に話したりすることで随分解放されていきます。
「妬み」や「嫉妬」という苦しい感情が、
ただ「羨ましい」という気持ちに変化していきます。
「私、仲良く街を歩くカップルを見たら羨ましくてたまらない」
「俺は、成功しているあいつは本当に羨ましい」
誰でも感じたことのある感情ですよね。
人が持っているものを見て、羨ましいと感じることも、
そしてあなたが何かを欲しいと強く思うことも、
決してみっともない事でも悪い事でもありません。
ただ、強く抑圧していればしているほど認める事に勇気が要るかも知れません。
まず、妬んでいる事、羨ましく思っている事を素直に受け入れて見て下さい。
そして、あなたが欲しいもの。
「幸せ」「パートナー」「成功」「お金」「賞賛」・・・
私は「○○が欲しいんだ~~!!」と、
もう一度自分の気持ちを認めてください。
本当は何が「羨ましい」のでしょう?
自分がどうしても欲しいものを確認したら、
嫉妬を感じてしまう相手のどこが嫌なのか、
受け入れられないのか、少し考えて見ましょう。
同僚が「上司の助け」でうまく出世出来た。
友達が「親の援助」で会社を立ち上げ成功した。
友人が「友達の紹介」で新しい彼氏を見つけた。
もしあなたが「あんなやり方だけは」したくないなんて感じていたとしたら、
実はあなたが幸せを手に出来る最良の方法なのに、
頑なに拒んでいるだけかも知れません。
「人の援助」「応援」「誰かの助け」「パートナーの愛情」など。
あなたが幸せを手にするためにはそれが必要なのです。
そしてそれは、あなたが求めさえすればきっと手に出来る方法なのです。
「部長、僕も頑張りますので応援してください!」
「どうしても会社を作りたいんだ。だから少し助けて欲しい!」
もちろん、すんなり相手が応じてくれないかも知れません。
すぐには、必要なものを手に出来ないかも知れません。
だけど「人に本当に欲しいものを話すこと」「お願いすること」
そして時には「助けを求める事」が出来る様になれば、
あなたは今までよりも、ずっと幸せを手にする事に近づくはずです。
あなたを応援したいと思っている人は必ず近くにいるのです。
「嫉妬」から
「嫉妬」という気持ちを受け入れて、
あなたが本当に欲しいものを「欲しい」と思える事。
そしてそれを手にするためにまだしていない方法があったと言う事を見てきましたが、
もし、
「どうしてもそのやり方だけは出来ない」と頑なな気持ちが出てきたり、
「私のような人間には絶対手に出来ない」という気持ちが邪魔をするなら、
それは心の中に少し痛みが存在しています。
いつの頃からか人に「甘える」ことが出来なくなっていたり、
小さい頃から「助けて欲しい」と言う言葉をずっとがまんして生きて来たり、
心のどこかで「自分にはそれを手にする価値がない」と感じていたり、
欲しいものを手にすることが「誰かに悪い」と思えたり、
そんな気持ちを見つけたら、その痛みを癒して行く事がテーマとなるでしょう。
人は自分が絶対手に出来ないと思うものに妬みを感じない様です。
「世界一の大富豪への妬む気持ちで毎日苦しんでます」とか、
「どこかの国王のことが、妬ましくて夜も眠れない」とは感じていないはずです。
私達は自分が手に出来る可能性があるものにしか、妬まないと言う事です。
あなたが「妬み」と言う感情を素直に受け入れる事から、
あなたが本当に欲しいものを見出し、
そしてそれを手に出来る人生に変えていく事が、本当は誰にでも出来るのです。
【プロフィール】
吉 原 直 人
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。