離婚や大切な人との別れ、仕事や夢や目標を失ってしまった時、人との関係で行き詰った時・・・
生きているととても大きなストレスを心が抱えてしまう時があります。
自分自身がそんな経験をしている時もあれば、愛する人がそんな状況で苦しんでいるのを支えたい。そんな時があるかも知れません。
どちらも出口がないトンネルの中を彷徨う様な、何をどうしていいかわからなくなってしまう時もあります。
そんな時”心が癒されていくプロセス”を思い出してもらえれば、何かのヒントになれるのかなと思い文章にしました。
心が苦しいのは
苦しくてどうしようもなくなってカウンセリングに電話を下さる方のほとんどの方が、今、心が感じている『感情』を否定したり、負けまいと頑張ったりされています。
『感情』と言うのはエネルギーなので、喜びや楽しさと同じように、怒りでも悲しみでも感じてしまえば無くなってしまうものなのです。
だけど僕たちは普段どうしても『良い感情』と『悪い感情』と仕分けして悪い感情の方を否定しまうのですね。
心が健康でなくなるのは、怒りや悲しいというネガティブな感情を”経験している”からではなく、その感情を”感じまい”と否定する時に苦しくなったりもやもやしたりしてしまいます。
まずは自分の経験している感情を素直に受け入れる。もしくは、目の前の人が自分の感情を受け入れられるような環境を作ってあげられたらずいぶん楽になられるのではないかと思います。
心が元気になるプロセス
僕が離婚した時の経験を少しお話すると、この世にある”ありとあらゆる感情”を経験した気がします。
はじめは、僕を受け入れてくれなかった相手に対する怒りや、子供がいるのに離婚を選んだ相手への憎しみも憤りも。
でもしばらくすると、相手をうまく愛せなかった自分自身に対する嫌悪感や子供に対する大きな罪悪感。
そして大切な人を失ってしまった喪失感、幸せだった時間を思い出す度に感じるどうしようもない寂しさや悲しみも・・・
ここでは書けない様な感情も含めて、何度も何度も繰り返し心は感情を経験して行きました。
当時僕はもうこの世界に入っていたので、セミナーなどで無理にでも感情に向き合わされた面もありますが、結果として早くまた深く癒されたと思います。
普段、僕たちはどこかで感情を感じることをブロックしてしまうことが多いです。
決してそれがダメだったりいけない事だったりするわけではないのですが、心に出て来る感情は感じ切ってしまった方が、早く楽になったり元気になって前に進めますよと言うことはいつもお伝えしています。
心が癒される環境とは
カウンセリングでは『受容』と言ってお話頂いている人の『感情』を自分の心の中にも見出して一緒に経験していきます。
ただ、そうしないとその人が感情を感じて心が癒されていかない。と言うわけではありません。
実は僕が離婚した直後、住む所が見つからなくてしばらく叔母の家に居候させてもらっていました。
その叔母は、本当に淡々としていて、一緒になって怒ってくれるわけでもなく、涙を流してくれるわけでもありません。
ただ本当に淡々といつも冷静で静かに傍に居てくれていました。
その環境が僕にとってはとても居やすく安心出来る場所だったのを覚えています。
当時、お客様と会う仕事をしていたのですが、落ち込む時には人に会うこと自体エネルギーが必要でした。でも今考えると、何気ない会話しかしていなくてもその時間が心を健康に保っていてくれた様に思います。問題や感情を話さなくても、自分を受け入れてくれる人との”つながり”が心を癒してくれていることを知った経験でもありました。
またこれも若い時の経験ですが、自分の夢に挫折して何もかも投げ出して地元に帰って来た時・・・
まったくアルコールを飲まない物静かな叔父が、先生をしていて生徒の親からもらったウイスキーを開けてついでくれたこと。
もう何十年も記憶しきれない様な時間を生きて来たのに、心の中にずっと残っている情景です。
答えはいらない
身体のケガが治って行くのと同じように、心が癒されて行くのにもプロセスはあります。
ただそれが特別な場所や、その人の抱えた問題に対する『答え』が決して必要なわけではないのだと思うのです。
人が生きて行く上で、感じて恥ずかしい、また感じてはいけない『感情』などありません。
今、目の前の大切な人は、より幸せになるために今までに心に溜め込んで来た感情を手放して行くプロセスを進んでいるのかも知れません。
そしてその人を思う想いがあれば、特別な答えや環境がなくても心は自然に癒され元気になって行きます。
あなたのままで、あなたの想いのそのままで、ただその愛する人の傍に居てあげるだけでいいのだと思います。