『許し』 そのことを書こうとすると、やはりどこかで力が入ってしまう。
癒しの中心的な要素だし、何を試みていたとしてもすべては”そこ”につながっている。
自分は、父も母も、僕を傷つけた人も、私を見捨てた男たちも…
すべてを受け入れ、許し。心は真っ青な空のように澄み渡り、恨みの小さな雲一つすら見つからない。
そう感じられる時もあるだろう。
でも、ふと苦しみがやって来たり、うまくいかない時は、
一度、いや何度も何度も許したその人のことがまた思い出されてくる・・・
僕たちの心とは”そんなもの”だと思う。
そんな時は暫し『許し』のことは忘れて、少し違うアプローチを試みるのもありかも知れない。
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『個』
僕たちの持っている言葉の中でも、とても魅力的な響きがある。
個性の『個』、それぞれの色、才能、能力をそのままを受け入れ、尊重してくれているような響き。
画一的な教育や価値観からではなく、僕たちそれぞれが持っている特徴。
力が強い。スタイルがいい。優しい。計算が早い。想像力が豊か。繊細さ。パワフル。etc.
もちろん僕たちそれぞれが持っている特徴には、ネガティブな面も同時に持ち得ている。
でも、『個』という響きの中には、それが良いも悪いもなく。上も下もない様に感じる。
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そして『個』は、決して僕たちをバラバラの”別のもの”に分けてしまうものではない。
精神世界の本を開くと、こんな風に書かれている。
わたしたちはもともとひとつのもの。
手のひらから指が伸びているように、わたしたちひとりひとりも一つの魂から伸びている。
個はすべてであり、同時に全体はすべての個を含んでいる。
理解するのが少々難しい表現だが、
それぞれの個性が輝いたり、増したりしても、僕たちはどこかで皆つながっている。
僕はただ”そう”とだけ理解している。
それぞれの個が輝いても、決して切り離されてしまわないと言うことだ。
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僕たちは、自分以外の存在に対して心のどこかでいつも”期待”を向けている。
自分のあるがままを受けとめてくれる親であって欲しかった。
私のことを誰よりも理解してくれる親であって欲しかった。
相手を傷つけるようなことを決してする人でいないでいて欲しい。
卑怯なやり方で競争する人でいないでいて欲しい。
私があなたを裏切らないでいるいように、あなたも私を決して裏切らない人であって欲しい。
私があなたを愛しているように、私のことも純粋に愛してくれる人であって欲しい。
親というものは・・・ 友人とは・・・ パートナーとは・・・
僕たちもかつて誰かから期待された時と同じように。
そう、期待とは時に、その人のあるがままを受け入れられないようにしてしまう。
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もし、僕たちが自分の『個』を認めてもらい、
自分のあるがままでありたいと願うなら、
僕たちの方から周りの人の『個』をそのまま受け入れることも一つの方法ではないだろうか。
まだ少し幼くて自分の感情の方に振り回されてしまったその人に。
誰かを育むよりも必死で自分の居場所を見つけたかったその人の。
愛するよりも誰よりも愛されいと願うその人の。
誰かのパートナーであるよりも、男で、女でありたかったその人の・・・
その特徴を、その個性をそのまま受け止めてみる。
自分の親だったり、パートナーだったり、愛して欲しかった人だと思うと悲しくなることも、
その人の特徴だと思うと、その人のユニークな『個』として見ることが出来るかも知れない。
その人の独特のユニークな特徴・・・『個』
まず僕たちの方から『こうあってほしい』という期待を手放し、
周りの人の『個』を受け入れた時、きっと僕たち自身の『個』もそのままでいいんだと、輝きはじめる。
【プロフィール】
吉 原 直 人
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。