・・・僕たちの心は傷ついたり、思い通りに事が進まないと、すぐに誰かを批判したり攻撃したくなってしまう。
昔、カウンセリングを学んでいる時に心理学の先生がセミナーでよくこんな話をしてくれていた。
地球上の未開のジャングルで、未だ私たちの文明とまったく接点を持っていない原住民が見つかって、
あなたが代表としてはじめてその種族に会いに行くことになったとします。
相手が攻撃的な種族なのか、友好的な人たちなのかまったく分からない。
もし、あなたが懐に銃を隠し相手に銃口を向けながらそろりそろりと近づくなら、
あなたの心はいつ相手から襲われる(攻撃される)かわからない恐怖でいっぱいになるでしょう。
でも、もし銃を持たずに近づくならその恐怖は半分くらいに減らすことが出来ます…
もっと身近なたとえ話もあった。
あなたが夜中にトイレに起きて真っ暗な廊下に電気を付けると、
向かいの壁に茶色く艶やかな羽を持った虫がカサっ!と止まりこちらの動きをじっと見据えている・・・
あなたはあたかもそのゴキブリがいつあなたに襲いかかろうかと身構えている様に感じるでしょう(笑)
そう、このお話はどちらも僕たちの心の『投影』という仕組みを説明しようとしています。
そして先生は”よく考えてみて”と付け加えます。
ゴキブリが自分より何百倍も大きい人間に襲いかかろうと本気で考えていると思いますか?
人間と出くわして恐怖におののいているのは本当はゴキブリの方なんです(笑)と。
僕たちの心は、自分の心に持っている気持ちをあたかも相手が”そう感じている”ように認識します。
相手に対して攻撃的な気持ちを持っていれば、相手もあなたを批判したり攻撃しているように感じます。
相手に親しみを感じていれば、相手もそう感じてくれているように感じられるのです。
もちろん今悩んでいる職場や身近な人間関係を考えた時、その関係で今まであった出来事や歴史もあります。
”あたかも”ではなく”間違いなく”相手があなたを攻撃する気持ちを持っている場合もあるかも知れません。
でも、相手が本当にあなたに対する攻撃心を持っていたり、嫌いだったりしたとしても、
こちらの心の中を『投影』しているものがゼロになっているわけではありません。
また相手の気持ちも、嫌いだったり攻撃する気持ちだけで100パーセント心の中を占めているであるわけでもないのです。
あなた自身の心の中を考えても、誰かのことを嫌いという気持ちばかりでなく、
少しは理解しようとする気持ちもあったり、仲良くしなければという気持ちもあったり、
色んな気持ちが同時に心の中に存在し、またそれはいつも流動的なはずです。
そう相手の気持ちとは不確定で何を感じているのか?本当はわからないのです。
よくカウンセリングで、誰かのことを受け入れましょうとか、許しましょう。
そんな取り組みをする事があります。
でも、今実際に相手に嫌な態度をとられていたり、理不尽なことをされている最中に、
相手を受け入れることってはなかなか難しいと思う時もありますよね。
そんな時・・・
あなたが誰かとの関係で、攻撃されている様に感じたり、良く思われていないなあと感じて悩んでいるなら、
まずあなたの中の相手を攻撃したり批判したりする気持ちを手放すことに取り組んでみてはどうでしょうか。
相手の行動をすべて受け入れたり、相手のことを好きになろうとする必要はありません。
ただ、自分の中の批判したり攻撃したりする気持ちに気づいた時、その度にもう『手放そう』と思えばいいのです。
そう心の中の”銃”を手放してみるのです。
もちろん、それでも相手の態度や行動は変わらないかも知れない。
でも相手の中の”こちらを攻撃する気持ち”以外の気持ちがもしかすると見えて来るかも知れない。
そしてもし、その人との関係が仕事や得意先などあなたの人生にとって未だ関わりが必要な関係であるならば
無理はしなくてもいいです。一日一回だけ、
心の中で、その相手にすごく幸せなことが起こって喜びに満ち溢れている相手の姿をイメージしてみてください。
一日一回、数秒だけ(笑)でいいです。
数日後、あなたにとって何か、今までよりも生きやすい世界に変わっていることに気づけると思います。
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【プロフィール】
吉 原 直 人
1967年12月6日生まれ。いて座。A型。
自分自身が抱えた離婚問題をきっかけに心理学、カウンセリングの世界へ入っていく。
子供の頃の生い立ちや自分の心とじっくりと向き合い癒しを経験する。
その後カウンセラーとして、夫婦関係をはじめ、子育て、恋愛、様々な問題をサポート。
優しいく包み込む様に行われるカウンセリングは、心を癒し自然にその人本来の姿に戻していく。